ShadeWall 通気壁体の遮熱断熱計算
ShadeWallのご紹介
建物を構成する壁の熱移動には3つの形態(1.伝導 2.対流 3.放射)があります(図1、図2参照)。伝導とは壁内部を熱が移動する現象、対流とは壁表面と空気との間で熱が移動する現象、放射とは壁表面間で熱が移動する現象です。
冬期は屋外が寒いので、建物の内部を快適な環境に維持するには、暖房が欠かせません。日本では住宅のエネルギー消費量に占める暖房の割合が25%程度と大きく、省エネルギーと温熱環境の改善のために、外壁や屋根など断熱化が進められてきました。高断熱化の技術は広く普及しており、冬期の室内温熱環境の改善や空調消費エネルギーの削減に寄与しています。
夏季は屋外から室内に熱が侵入してきます。外壁や屋根の断熱は夏期にも有効ですが、冬期と異なり日射熱が大きな熱エネルギーをもっていることを考慮する必要があります。例えば日射のあたる屋根面は70℃程度まで表面温度が上昇します。日射は目に見える可視光領域だけでなく、赤外領域の大きな熱エネルギーをもっています。この赤外線熱エネルギーも含め、日射熱の侵入を抑制する技術が遮熱です。遮熱性能に優れた家は夏期の室内温熱環境や・空調消費エネルギーの改善が期待できます。
屋根や外壁など建物躯体の断熱・遮熱に関しては様々な技術が実用化されています。例えば、図2に示す放射による熱の移動は通気層や中空層に接する面の放射率によって、伝達される熱量が変化します。この点に着目して空気層に接する壁面の放射率を低くすれば伝達する放射エネルギーを抑制することができます。また、通気層が設置されている場合、夏期に通気量を増やすことによって室内に侵入する熱を減らす効果が期待できます。
このように壁体の総合的な熱性能を計算、評価する場合、断熱性能のみでなく遮熱性能に関しても把握する必要があります。ShadeWallでは、断熱性能の計算だけでなく、遮熱性能、通気層からの排熱効果の計算を加え、壁体の熱性能をより詳細に計算、評価できるようになっています。ShadeWallの計算結果で一定の効果が期待できる壁体構成を実証実験前に選別できるようになるので、確認実験の効率化が期待できます。
ShadeWallの使用方法
- 壁体断面各層の物性値の入力。厚さ・熱伝導率・容積比熱を設定します。
- 壁体パラメータ入力。壁体のサイズ(単位幅・長さ・傾き)、外表面放射率・外表面の日射吸収率・室内側総合熱伝達率を設定します。
- 通気層物性値入力。通気層接触面の放射率・出入口開口率・通気層温度重み係数・通気層厚さを設定します。
- 計算時間設定。計算ステップ・終了時刻・計算の繰り返し回数を設定します。
- 環境条件入力。外気温・室温・風速・夜間放射量、日射量。気象データをファイル形式で作成・設定することで非定常計算が可能です。定常計算の場合は、一定の数値を入力します。
- 計算実行ボタン押下
- CSVファイル出力。以下の3つのファイルが出力されます。
XXX-prm.csv:
壁体の物性値データ・環境条件データ
XXX-tem.csv:
各層の表面温度データ・侵入熱量
XXX-vnt.csv:
通気層内の温度・風速・排熱量他
ShadeWallのシミュレーション実施例
上記⑦において出力されたファイルを利用して,データの整理や考察を行うことで,壁体の遮熱技術の導入効果の検討などが実施可能です。以下にシミュレーション実施例を示します。
通気層を有する屋根の計算
ShadeWallは、通気層での排熱や放射熱遮蔽を考慮した壁や屋根の熱収支計算が可能です。図4、表1に示す屋根構成において、表2に示す計算条件で屋根断面内の温度分布と流入熱量を算出します。なおここでは、遮熱・通気技術の有無(外表面の高反射化、通気層厚さの増加、低放射層の設置)による違いを示します。ただし、屋根の設定のため、壁体の傾きを22.6°として計算しています。
【表1】 屋根構成 | ||||
番号 | 部材名 | 厚さ(m) | 熱伝導率(W/mK) | 容積比熱(J/m3K) |
① | 外装材 | 0.005 | 0.17 | 2016000 |
②、③ | 通気層 | 基準厚さ:0.045通気促進:0.089 | - | - |
④ | 断熱材(押出ポリ3種) | 0.040 | 0.024 | 25000 |
- | 合板 | 0.004 | 0.16 | 715000 |
- | 密閉中空層(スタッド材) | 0.089 | 0.18(熱抵抗) | - |
⑤ | 内装材(石膏ボード) | 0.0095 | 0.22 | 1130000 |
【表2】 計算条件 | ||||
外気条件 | 室内条件 | 照射熱量 | 照射時間 | 通気層の状態 |
35℃ | 27℃ | 303W/m2 | 時間帯:480分~960分(8時間) | 出入口開口率:30% |
シミュレーション結果
図5、図6に壁体断面の温度分布を示します。
図7に室内へ侵入してくる熱量を示します。
夏季の気象条件に基づいた解析の結果、低放射層の設置が、壁体の温度低下を促して断熱材への侵入熱量が低減し、室内への侵入熱量も図2より約50%低減することがわかりました。ShadeWallを用いることで、夏季の日中における遮熱技術の導入が有効なことを示す結果が得られました。
ShadeWall 購入案内
試用版(機能制限あり)をダウンロードしていただき、ライセンス料金をお支払いいただくことにより、機能制限を解除しフル機能版として使用するために必要なライセンスキーを発行いたします。ライセンスキーの有効期間は発行後1年間とさせていただきます。
初めてShadeWallを使用されるお客様へ
まずは試用版をダウンロードしてください。マニュアルはダウンロードファイル群に含まれていますので、詳しい使用方法などを確認することができます。使用許諾契約の内容に同意していただいた上で、こちらからShadeWall試用版のダウンロードを行うことができます。
ShadeWallの使用許諾契約書(PDF)
ShadeWall製品版をご希望のお客様へ
ShadeWall製品版の購入手順
- ShadeWall製品版の1年間のライセンス料金は、¥88,000円(消費税込み)です。
- ダウンロードされた試用版を用いて購入申込キーを作成ください。購入申込キーはShadeWallを使用するパソコンで作成する必要があります。
- お客様情報及び作成した申込キーを以下注文フォームに記載し、送信ください。
- 弊社が指定する銀行口座を連絡いたしますので、その口座にお振り込みください。振込手数料はお客様負担でお願いします。
- お振り込みが確認でき次第、ライセンスキーの発行を行い、メールにてお知らせします。
- ご購入されたライセンスキーは購入申込キーを作成されたパソコンでしか使用できません。ライセンスキー発行後はいかなる理由があっても新たなライセンスキーを発行することはできません。
- 試用版の所定の画面でライセンスキーの入力を行うことで、製品版として使用することができるようになります。ライセンスキーの有効期間は発行後1年間なので、それ以降では製品版の使用はできなくなります。継続して使用される場合には別途お申し込みください。
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- 試用版の所定の画面でライセンスキーの入力を行うことで、フル機能版として使用することができるようになります。注)継続後のライセンスキーの有効期間も発行後1年間なので、それ以降ではフル機能版の使用はできなくなります。継続して使用される場合にはお手数ですが再び継続の申し込みをお願いします。