SUCCS-Ⅲ ダウンロード

 プログラムSUCCS-Ⅲは、逐次積分法とEnvironmental Temperature 法により、多数室の室温及び熱負荷変動を解析するソフトです。今回Visual Basic 2010 で作成した汎用プログラムSUCCS-Ⅱを新しいフォーマットのHASP 型気象データに対応できるように改定しました。また予熱時間を1 時間刻みではなく自由にし、地盤の大きな熱容量を直接扱うことを避けるために地中温度を外気温と室温の年変動から計算して与えるように工夫しました。このことによって戸建住宅では避けて通れない地盤あるいは床下を取り組むのが容易なったと思います。


 本プログラムの元は50 年以上前に荒谷先生がFortran で書かれた逐次積分法の「室温及び負荷変動解析プログラム」です。最初は学生の演習のためにPC-9801 用BASIC で書き直していましたが、Windows とVisualⅬBasic 普及とともに本格的なプログラムとして改良してきました。Fortran プログラムとの大きな違いは、多数室温の解法を連立方程式へ改め、気温のほかに平均放射温度を含めた室温(Environmental Temperature)を使うようにした点です。熱負荷計算の精度ばかりでなく室内環境評価対象としての室温の意味も向上し、断熱や熱容量などの影響を十分な精度で数値実験できるようになっています。


 非定常熱負荷計算プログラムはレスポンスファクター法や差分法によるHASP、 Micro Peak、HASPEE、The BEST Program をはじめとして多数あります。しかし計算速度が速く、演算時間間隔を短くしても記憶容量が増えないという逐次積分法の特徴は、パソコンの能力が爆発的に向上した現在では薄まりましたが、スマートな解法である点は色褪せていません。またアメリカで生まれたレスポンスファクター法と違って、我が国での一般的な間欠冷暖房負荷を求めるための室温変動理論を基にしており、直感的な理解のしやすさでは劣りますが、単純な積和の繰り返しは自分でプログラミングするうえで大きな長所です。


 本プログラムは無料で理解しやすいMicrosoft Visual Basic 2020 Community (Microsoft社)で書かれています。またプログラムの作成には「算生会」の黒田英夫氏の技術計算用ソフトや著作を参考にしましたが、幸いにも現在無料公開(著作権開放)されているので参照しやすくなりました。プログラムの内容を把握し独自の計算プログラムを作って活用するのに非常に役立つと思います。